時代の先端を進む探究学習
令和4年度 身近なSDGsに関する調査研究(2)
SDGsの目標の中から、生徒自らが興味をもったテーマについて施設見学や調理実習・講演会を実施し、SDGsの理解を深める学習を行いました。1年生は水資源の問題について調査し、バーチャルウォーターについて理解を深め、海水の淡水化実験を行いました。2年生は秋田県米麹「あめこうじ」について調査し、「あめこうじ」を使ったレシピを考案しました。3年生は秋田県立大学アグリイノベーション研究センターを見学し、スマート農業について学習しました。
令和3年度 身近なSDGsに関する調査研究
SDGsの17の目標の中から学年ごとにテーマを選び、深く掘り下げました。一年生はマイクロプラスチックの問題を取り上げ、海岸でのマイクロプラスチック採取と分類調査を行い、プラスチック汚染の問題について考えました。二年生は、食品ロスの問題を取り上げる中で、調理科生徒が、サンマの使い切りレシピによる調理実習を行い、食品を無駄なく利用する工夫について考えました。三年生は、風力発電所を見学し、再生エネルギーについて理解を深めました。研究活動を通じてSDGsを身近に感じることができ、できることを今すぐ始めてみようという意識を持つことができました。 さらに、全校生徒によるこのような取り組みが評価され、秋田県SDGsパートナー登録制度への登録を受けました。今後も、SDGsの普及及び持続可能な地域・社会づくりに向けた活動に学校全体で取り組んで行きます。
令和2年度 秋田米新品種に関する調査研究
ここ数年、全国各地でインパクトのあるネーミングのついたブランド米の開発が進んでいます。秋田県でも、令和4年の市場販売を目指し秋田米新品種(サキホコレ)の開発が進められています。そこで、この秋田米新品種の開発に携わった農業試験場を代表生徒が訪問し、開発担当者の方からの講義や稲刈り作業への立ち合い、収穫した新米を使った調理、PR動画の制作・公開を通じて、秋田米新品種について理解を深め、地域へその魅力を発信することができました。
令和元年度 秋田県の歴史に関する調査研究
鹿角市の大湯環状列石や北秋田市の伊勢堂岱遺跡は、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一部として世界遺産登録を目指しており、縄文人の精神生活を考える上でたいへん貴重な遺跡です。また、秋田市寺内にある秋田城跡は、奈良時代から平安時代にかけての大規模な地方官庁で、当時の政治・軍事・文化の中心地でした。さらに、本校の目前にある千秋公園は、秋田藩主佐竹氏の居城久保田城跡であり、花見の時期には県内外から多くの観光客が訪れるなど、秋田の歴史や文化を考える上で重要な場所となっています。 このように、県内各地には旧石器時代から現代に至るまで、歴史的に貴重な史跡が数多く残されています。そこで、生徒が主な史跡や資料館を訪れて、歴史的背景や重要性を理解し、互いに学習成果を発表し合うことで、生徒一人一人が秋田県の歴史について理解を深めることができました。
平成30年度 秋田県の自然観光資源に関する調査研究
ジオパークとは、「地球・大地(Geo)」と「公園(Park)」とを組み合わせた言葉で、地球科学的に見て特別に重要で貴重な、あるいは美しい地質遺産を含む自然公園です。ジオパーク構想では、特色ある地形や地層、岩石などを地質遺産として保護するとともに、地学教育や防災教育、ジオツーリズムなどの観光事業に活用し、地域社会の活性化を目指しています。秋田県内には、八峰白神、男鹿半島・大潟、鳥海山・飛島、ゆざわの4カ所のジオパークがあります。さらに、白神山地は世界自然遺産にも認定されており、秋田県は多くの自然観光資源に恵まれています。このような豊かで貴重な秋田県の自然について理解を深めるために、生徒自らがジオスポットを見学し、地球科学的な見地に立って観察することで理解を深めました。また、ドローンによるジオサイトの上空から空撮を行い、映像を自然観光PR動画としてまとめました。
平成29年度 ドローンによる環境調査に関する研究
空の産業革命とも呼ばれているドローンの活躍分野は、空撮や保守点検にとどまらず、災害・事故現場、農業、防犯活動といった他の幅広い分野への応用が注目されています。そこで、生徒自らドローンの操作方法を基礎から学び、本校チームがドローンの操作技術を競う大会で優勝するなど、ドローンについて身近に感じながら、7月22日から23日にかけて秋田県を襲った記録的大雨で雄物川河口付近の地形が変化した様子をドローンにより撮影するなど、ドローンの環境分野への応用の可能性を考える上で、一定の成果をあげることができました。
平成28年度 秋田県の地震に関する調査研究
平成28年4月に熊本県と大分県で震度7を観測する地震が発生するなど、日本各地でいつ地震に遭うかもしれないという不安が広がりつつあります。秋田県では昭和58年に日本海中部地震が発生し30年以上経過しましたが、ユーラシアプレートと北アメリカプレートの境界線には、地震の空白域が存在していると言われ、日本海を震源とするプレート境界型の地震による津波が秋田を襲う可能性も指摘されています。そこで、地震学が専門の先生による講義、秋田県防災学習館における体験学習、全校生徒による避難所設営体験を通じて、地震のメカニズムについて深く知り、防災について改めて考える機会とし、生徒一人一人が防災意識を高めることができました。
平成27年度 秋田県の活火山に関する調査
2014年9月、御嶽山が噴火し、57人が死亡、6人が行方不明となりました。また、箱根山では、2015年4月26日から大涌谷付近を震源とする火山性地震が増加しており、5月5日には箱根湯本で震度1を観測する地震が3回発生しました。6月30日には、大涌谷でごく小規模な噴火が発生し、噴火警戒レベルが3(入山規制)に引き上げられました。東北地方では、2015年4月13日、蔵王山に火口周辺警報(火口周辺危険)が発表されました。御嶽山と同じように、過去に水蒸気噴火を繰り返してきた火山であり、同じような規模で噴火が起きることも指摘されています。このように、日本各地で活火山の活動が活発化している兆候が見られ、噴火・水蒸気爆発への対策や、観光業への影響が心配されています。秋田県においても、2015年5月に入ってから秋田駒ヶ岳の地熱域が拡大しており、40年間隔で噴火を繰り返してきた駒ヶ岳への警戒も必要となってきています。秋田駒ヶ岳は、昭和45年から46年にかけて火山活動が活発化し、溶岩や火山弾を放出しました。いつ噴火してもおかしくない活火山として注意が必要です。そこで、秋田県にある3つの活火山(鳥海山、秋田駒ヶ岳、焼山)の噴火の歴史や現在の噴火の可能性について調査し、火山や噴火のしくみ、火山活動と東日本大震災との関連などについて理解を深めました。また、防災に対する備えや心構えについて、改めて考える機会となりました。
平成26年度 人工衛星による地球環境調査
ロケットや人工衛星の主要な目的の一つに地球環境調査があります。日々の気象予報に貢献している気象衛星の他、温室効果ガスの濃度分布、北極海の氷の面積の変化や海面上昇などの観測の手段として、人工衛星の技術が利用されています。
そこで、地球環境問題について全校あげて学習し研究を行い、生徒たちの人工衛星の役割や技術開発への興味・関心を高めるため、缶サット甲子園大会の出場を通して模擬衛星づくりの体験を行いました。さらに、日本の「ロケット発祥の地」として知られている道川海岸やJAXAの研究施設のある能代市を訪ねて、ロケット開発について秋田は縁が深いことを確認しました。
平成25年度 石油資源(シェールオイル)
以前は、地下深くに眠る石油資源の採掘は技術的に困難でしたが、近年、強い水圧をかけて岩盤層に亀裂を入れて取り出す方法が開発されました。特にアメリカでは、技術が独占的な知財権で固められており、掘削から精製までのすべての工法が確立されました。これは、シェール革命と呼ばれ、近い将来、世界のエネルギー情勢が大きく変わると言われています。
そのような中、平成24年10月、由利本荘市の鮎川油ガス田の地下約1800mから、岩盤に含まれるシェールオイルの試験採取に成功しました。シェールオイル生産に向けて日本国内で取り出しに成功したのは初めてです。そこで、この石油資源の将来性や問題点などについて、シェールオイル掘削現場の見学、秋田の石油の歴史の調査、地質模型およびポンピングマシン模型の制作、全校生徒による研究発表会等を通して、理解を深めました。
平成24年度 カワウによる捕食被害
全国的にカワウによりアユが捕食されるという被害が大きな問題となっています。漁業関係者にとってカワウの生息数増大は脅威であり、ブラックバス以上に漁業に影響を与えると言われています。秋田県では、2008年9月に大館市で100羽以上の群れが発見されたことを契機に、米代川や雄物川で生息数を増やしつつあります。
かつては、カワウはその糞を肥料にしたり、肉を食べるため狩猟されたりといった利用価値のある鳥でしたが、今やカワウが害鳥として位置づけられている背景には、河川が治水工事のためコンクリートで覆われ、川の環境が変化したことにあると考えられます。カワウの生態、他県での被害の状況、防除方法カワウ問題の原因について、それぞれまとめました。
平成23年度 秋田県の自然エネルギー
東日本大震災をきっかけに、エネルギー問題が広く関心を集めましたが、火力、原子力発電が海外に原料を依存しているのに対し、純国産資源を利用したものに地熱発電があります。発電量では他の発電に及びませんが、資源の少ない日本にとって、クリーンなエネルギーとしての地熱発電が見直される時期にきています。
湯沢市上の岱地熱発電所及び能代火力発電所の見学、発電原理を理解するための実験、これからのエネルギー資源についての全校生徒による討論会を通して、社会や経済を維持しながら、資源の問題や環境の問題とも両立するようなエネルギーをどのように調達すべきかについて、生徒一人一人が理解を深めることができました。
平成22年度 世界の水問題
現在、安全な飲み水を確保できない人は世界で約11億人に上り、また2025年には世界の人口のほぼ半分に当たる35億人が水不足に直面すると言われています。一方で、我が国は多くの食糧を輸入に頼っていますが、それらを生産する過程で大量の水が必要であり、肉や小麦などを輸入することは、大量の水を輸入することでもあります。このように、私たちの生活が世界規模の水資源の枯渇に関わる問題に直結していることから、本研究では問題点を整理し研究発表会での発表を通して、全校生徒で問題意識を共有することができました。また、理科実験室での海水の淡水化実験を行い、技術的な課題について理解を深めることができました。さらに、六郷湧水群の見学を通して郷土秋田が豊かな水資源に恵まれていることを再確認することができました。
平成21年度 バイオエタノール製造技術
バイオマス(生物資源)を活用したエネルギーは、地球温暖化防止や循環型社会の形成に有効だとして世界的に期待されています。わが国でも、京都議定書や新・国家エネルギー戦略において普及目標が掲げられています。一方で、稲わら等農産物の副産物は、効率的にバイオ燃料を製造する技術が未だに確立されていないため、その利活用のための開発・取り組みが強く求められている状況があります。北秋田市にある杉の間伐材を利用したバイオエタノール製造実験プラントの見学、理科実験室でのバイオエタノール製造の実験も交えながら、地球温暖化の問題との関連やバイオエタノールの製造技術の変遷と課題について理解を深めることができました。
平成20年度 レアメタル問題と鉱山都市
今日の高度情報化社会を支えている半導体部品、デジタル記憶メディア、携帯機器などには、埋蔵量が非常に少なく存在地域が大きく偏っている希少金属(レアメタル)が使用されているが、希少金属の価格が軒並み高騰しています。このような中、小坂精錬などDOWAグループでは、家電製品や自動車、携帯電話の中から金、銀、銅などの金属を取り出す高度なリサイクル技術を開発し、希少な金属資源を回収する取り組みを始めています。このような世界に誇れる高度な技術が郷土に存することを理解し、改めて資源の問題や地球環境の問題を考える契機となりました。
平成19年度 雄物川の不法投棄問題とリサイクル問題
古来より秋田の歴史文化の礎を築き、人々に豊かな恵みをもたらしてきた雄物川に、現在、流域のあらゆるところから集まったゴミが堆積しており、大きな社会問題となっています。雄物川河口付近に不法投棄されている産業廃棄物や漂着している一般家庭ゴミの実態を調査し、また、雄物川のクリーンアップ活動を通して、問題の深刻さを実感しました。さらに秋田市総合環境センターでの見学を通して、リサイクルの現状と課題についてまとめ、その成果をリサイクルの是非をめぐる討論会を通して議論を深めることができました。
平成18年度 ナラ類の集団枯損被害(ナラ枯れ)
ミズナラ・カシワ・コナラ・クリなどナラ類等の樹木が立ち枯れる「ナラ枯れ被害」が、2006年8月、本県でも確認されました。ナラ枯れは景観の悪化に加え、土砂崩れを引き起こしたり生態系に影響を与えるおそれがあり、早急な対策が求められています。現在、県内各地で深刻な被害をもたらしている松枯れ被害の広葉樹版と言われているナラ枯れ被害の実態と原因、及び対策について調査研究しました。
平成17年度 フグ・イワガキ・ヤツメウナギなどの秋田県の知られざる貴重な海水
秋田県の貴重な海水産資源について研究しました。有名なイワガキについての学習の他、あまり知られていないトラフグの漁獲量や流通経路、稚魚の放流事業について学びました。また都会で珍重とされ高価に取引されているヤツメウナギの漁獲量は30年前の約10分の1に激減し、その原因は主として河川の工事や家庭ゴミの影響であることを知り、原始的な生物ほど汚染に敏感に反応し、絶滅しつつあることを学びました。
平成16年度 日本海沿岸の松枯れ被害
日本海沿岸の松枯れ被害について調査研究しました。明治時代に九州で始まったマツノザイセンチュウによる松枯れ被害は、温暖化と共に北上して現在秋田・岩手が最前線となっていることを現地調査し実感しました。マツノザイセンチュウとマツノマダラカミキリによる被害の拡大のシステムを学習すると共に、本校の立つ千秋公園の松や日本人の思うふるさとの原点といわれる「白砂青松」を保護し育成する活動に積極的に参加することが提案されました。
平成15年度 野鳥・カラスの生態
野生の鳥類に対する人間の影響について研究しました。人間の出す生ごみはカラスにとって質の高い栄養源であり、停電の原因となる電信柱へのカラスの営巣は失われた大木の代わりとなるものであることを知りました。カラスが町に定住することや、ムクドリが繁華街の街路樹に群がることは、雑木林の宅地化の影響であることを学びました。カラスによって生ゴミを食い散らかされる被害は、全国の繁華街を調査することによって、人間側の細かな配慮によって防ぐことができることを知りました。またカラスの記憶力や図形の認識が非常に高いことも学びました。
平成14年度 野生のクマとサルの生活 ~駆除か保護か~
本来奥山にいる野生動物が人里に降りて、人間や農作物に多大な被害を及ぼしていることの原因や防除について学びました。本県ではツキノワグマを年間数百頭も駆除することによって人間への被害を食い止めている一方、絶滅危惧種に指定されているため駆除できない白神山地・八森地区のニホンザルによる被害は深刻になっていることを現地調査しました。里山を野生動物と人間が棲み分けるため、奥山を整備し維持する大切さを学びました。
平成13年度 八郎潟残存湖のブラックバス問題
八郎残存湖での全校ブラックバス釣りや漁業組合と釣り業者の方々を招いて公開討論会を行い、配慮のない外来魚の放流によって、湖沼の生態系が急速に壊されているという状況を学ぶと共に、「ブラックバスの駆除」と「スポーツフィッシングによって観光客を招致する」という考え方の対立があることを知りました。これらはテレビ放映され反響を呼び、その後の外来魚規制に影響を与えました。